絵本の読み聞かせは、語彙力アップに最高の時間!
まずは、簡単に子どもが言葉を覚える流れのご説明。
言葉を聞く → 発音をまねる(学ぶ) → 意味を理解 → 文法を習得 → 会話が成立
はじめは、親が話す言葉をよく聞き、よく耳にする音のパターンを少しずつ覚えていきます。そのうち、「あ〜」「う〜」などの意味のない音(喃語)を発するようになり、だんだんと言葉に近い音が出せるようになります。
1歳ごろには単語を話し始め、意味もある程度理解できるようになります。そして、二語文・三語文と語数が増えるにつれて、自然と文法のルールも身についていきます。さらに成長すると、自分の気持ちや考えを言葉にして相手に伝えられるようになります。
そんな言葉の発達を助けてくれるのが、絵本の読み聞かせです。
絵本が言語習得に役立つ理由
・現実では出会えないものにも出会える
日常の生活ではなかなか体験できないような動物や乗り物、自然の風景などに、絵本を通じて出会うことができます。たとえば、動物園に行かないと見られないゾウやキリン、救急現場でしか見ないような救急車や消防車、海辺に行かないと出会えない船などの、日常ではたまにしか見かけないものも、絵本の中では自由に登場します。
こうした言葉は、日々の親子の会話ではあまり出てこないため、自然に触れる機会が少ないもの。けれど、絵本の中ではストーリーの一部として何度も登場するので、言葉として認識し、イメージとセットで覚えるきっかけになります。
・絵と言葉がセットで学べる
絵本には、文字だけでなく対応した絵が描かれています。この「視覚と聴覚の連動」が、子どもの言葉の習得にとても役立ちます。
大人でも言葉を聞いただけでは、イメージできないものってありますよね?」
たとえば、「オシドリ」「メガネレンチ」など…あまりなじみのないもの


でも、写真やイラストが一緒にあると、すっと記憶に残るものです。子どもはなおさら、視覚的な情報からたくさんのことを学びます。
絵を見て、言葉を聞く。そして、何度も出てくることで、知らなかった言葉の意味や使い方が、自然と身についていきます。
・繰り返しにぴったり
絵本は、子どもが何度も同じものを読みたがることが特徴です。大人にとっては「またこの絵本?」と思うこともありますが、子どもにとってはこの「繰り返し」がとても重要。
同じ文章、同じ言葉をくり返し聞くことで、耳が言葉に慣れ、語彙や言い回しがしっかりと定着します。私たちも学生の頃、英単語を覚えるのに、何度も何度も反復しましたよね。子どもも同様に何度も読むうちに、「次にくる言葉を覚えて言えるようになった」という経験が増えてきます。これはまさに、言葉を「覚えた!」という成功体験。
お気に入りの一冊を何度も読んであげることが、自然と語彙力や文の構造の理解に結びついていくのです。
注意しておきたいこと
絵本の読み聞かせが言語習得に良いからといって、「早く言葉を覚えてほしい」「たくさんの語彙を教えたい」と思うあまり、無理に言葉や文字を教え込もうとするのは逆効果になることがあります。
子どもにとって絵本の時間は、学びの時間というよりも、親と一緒に楽しみながら、自然に言葉に触れる時間なのです。
また、子どもが興味を示していないときに「絵本を読もう」と押しつけてしまうと、絵本=つまらない・強制されるものというイメージになってしまいます。
大切なのは、「読もうか?」とやさしく声をかけて、子どものペースに合わせること。子どもが読みたがるときに、リラックスして楽しむ。その積み重ねが、言葉の力を育てていきます。
まとめ
絵本の読み聞かせは、子どもの言葉の力を育てるうえでとても効果的な時間です。言葉を聞いて、発音をまねし、意味を理解しながら、やがて文として話せるようになる。この流れの中で、絵本は大きな役割を果たします。
絵と言葉がセットになっていることで、耳だけでは理解しづらい言葉でも、視覚の助けを借りてスムーズにイメージし、覚えることができます。さらに、現実ではなかなか出会えない動物や乗り物、自然の風景など、多様な語彙にも自然に触れることができます。
また、絵本は繰り返し読むことにとても向いています。同じ言葉やフレーズに何度も触れることで、子どもは言葉に慣れ、語彙や表現が定着していきます。こうした「覚えた!」という小さな成功体験の積み重ねが、言葉の自信へとつながっていきます。
ただし、「言葉を早く覚えさせたい」と焦るあまり、教え込みすぎたり、無理に読ませようとするのは逆効果。絵本の時間は、親子で楽しみながら、自然に言葉とふれあう大切なひとときです。子どものペースを大事にしながら、一緒にことばの世界を楽しんでいきましょう。
おわり
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